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HDTV方式のしくみ1964年NHK(Nippon Hoso Kyokai)は現行のNTSC方式とは違う「人間の視覚特性」や「心理効果」を追及し、臨場感のある映像を追求した高精細テレビHDTV(High Definition Tele-Vision)の研究を始めました。その結果アスペクト比は映画との互換性を考慮して16:9、走査線は当初1125本(有効走査線数1035本)を推奨していましたが、1997年のITU−R勧告709をベースに走査線1125本(有効走査線数1080本)で世界統一され、 フレームレートは当初30Hzが規定されていたが、現行テレビへの変換運用が多く運用性を重要視することとなり日本ではフレームレート29.97Hzが規定されています。 現在ではHDTV(High Definition Tele-Vision)と呼ばれる規格は二種類存在し、走査線数が1125本のインターレス方式と走査線数が750本のプログレッシブ方式があります。
■HDTVと現行テレビの違い
■HD−SDI信号の規格HD-SDI(High Definition television-Serial Digital Interface)の信号規格はSMPTE規格のSMPTE292MでHD-SDI伝送規格を規定し、ARIB規格のBTA-S004Bで1125/1080i/59.94Hzを規定しており、YPbPrのコンポーネント信号を約1.5Gbpsでシリアル伝送しています。下図は1ラインにおけるY信号の構成を表しています。 ![]() EAV(End of Active Video)はSDI信号のTRS(Timing Reference Signal)における水平/垂直の有効映像期間終了点の識別子のことです。[3FF][000][000][XYZ]の4ワードからなる同期識別コードで[XYZ]の内容でEAV、SAV、フィールド、水平/垂直の識別ができるようになっています。 LN(Line Number)はHD-SDI信号のライン番号監視用に使用されます。 CRCC(Cyclic Redundancy Check Code)は映像期間、EAV、LNの伝送エラーをチェックしています。 ANC(ANCyillary data)はSDI信号の補助データ期間でオーディオデータやタイムコードデータなどを挿入することが可能です。 SAV(Start of Active Video)はSDI信号のTRS(Timing Reference Signal)における水平/垂直の有効映像期間開始点の識別子のことです。[3FF][000][000][XYZ]の4ワードからなる同期識別コードで[XYZ]の内容でEAV、SAV、フィールド、水平/垂直の識別ができるようになっています。 映像信号
映像信号の伝送方式はコンポーネントのYPbPr方式でサンプリング周波数4:2:2(Y:74.25MHz、PbPr:37.125MHz)の分離伝送をするためクロスカラーがなく画質劣化が少ない綺麗な映像が得られます。右写真はARIB標準規格STD−B28で規格されているマルチフォーマットカラーバーで、このマルチフォーマットカラーバーは両端をカットすることでSDTV用のCBとしても使用できるように作られています。 SMPTEカラーバーではSDモニターの調整用に+4%のセットアップが使用されていましたが、ARIBカラーバーはそれに加えて±2%のセットアップがあり、100%のCy、Ye、B、Rが両端に追加され画面中央にY−RAMP波形も加えられています。 中央にある75%Whiteはモニターのクロマ調整用の信号で、Cy右横にある「+I」はユーザーが「75%White」「100%White」「+I」の選択ができるほかストライプ幅やランプ波形の立ち上がり時間の変更も設定できるように設計されています。
同期信号HD−SDIではコンポーネントのYPbPr三種類の信号を伝送しそれぞれの同期を完璧にあわせる必要があります。 そこで多少のレベル変動があっても絶対に位相ズレが生じない同期信号が検討された結果、信号減衰により同期信号が縮んでも位相ズレが発生しない3値同期が考案されたのです。 右図のように減衰した2値同期では位相のズレが発生してしまいますが、3値同期の場合は理論的に位相ズレがありません。 この3値同期を使用することで正確に同期をあわせることができるのですが、実際のHD−SDI信号の波形で同期信号は確認することができません。 これはNTSC方式のアナログ波形では映像信号と同期信号を合わせた信号を8bit(256階調)に分解していましたが、画質に直接関係のない同期信号まで同じように分解すると、映像信号の部分が小さくなり非効率になってしまうからです。 HDTVでは同期信号を黒ブランキング信号に埋め込むことで、映像信号のみを8bitまたは10bitに分解し、映像信号に割り当てる諧調を有効的に活用しているのです。 音声信号 SMPTE299Mで規定されAES/EBU フォーマットした最大16chの多重音声をアンシラリーデータとしてSDI信号に重畳します。
■伝送方式1983年NHK(Nippon Hoso Kyokai)はアナログHDTV信号を1/4に圧縮して衛星放送の1チャンネルでハイビジョンを放送することができるMUSEしかし欧米各国は日本のHD市場独占を懸念しHDTVのデジタル化に取り組んだ結果、1994年にISO( 国際標準化機構 ) とIEC ( 国際電気標準会議 )によって、DCT(Discrete Cosine Transform)離散コサイン変換とMC(Motion Compensation)動き補償技術を基本とした技術を用いてHDTVの圧縮も含むMPEGー2国際規格をまとめたのです。 これにより日本のHDTV方式もデジタルへ移行し、MUSE方式はトランスポンダの寿命である2007年をもって終了せざるお得なくなったのです。 デジタル伝送最大の特徴は、信号を符号化するため伝送で減衰した映像信号を演算処理することにより、もとの状態である信号に劣化さることなく戻すことが可能なことで、現在日本のHDTV伝送方式は映像圧縮にMPEG2 Video、音声圧縮にはMPEG2 Audio AACを採用しており5.7MHzの周波数帯で伝送しています。しかしHDTV伝送方式は政治的、経済的な事情から世界統一することができず、現在では三種類の伝送方式に分類されます。
ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)は日本で開発されたデジタル放送規格でATSCやDVBに比べて優れた方式ですが技術的に複雑なため他の国では採用されていません。 ATSC方式 ATSC(Advanced Television Systems Committee)はアメリカで開発されたデジタル放送規格でカナダ、メキシコ、韓国で採用されています。 DVB方式 DVB(Digital Video Broadcasting)は国際的に承認されたデジタルテレビの公開標準規格でヨーロッパ諸国、オーストラリア、インド、南アフリカなどが採用しています。
■1セグ放送前述した日本の地上デジタル放送規格であるISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial)の最大の特徴は6MHzの伝送対域内に13のセグメントが存在し、各セグメント毎に変調方式を変えることができる点です。つまり複数のセグメントにより放送される番組と残りのセグメントによって放送される番組とが異なる変調方式により伝送することができるのです。 この技術を用いて現在頻繁に試験放送されている1セグ放送を受信することが可能になっています。 1セグ放送とは移動体通信(携帯電話やPDA)における動画やデータ放送を視聴できる移動体向け放送サービスのことですが、このサービスを行う上で一番問題になったのがデータ放送に分類される動画の符号化方式のライセンス料の扱いでした。 通常、放送局から送られてくるコンテンツは無料放送が前提なのですが1セグ放送では動画の符号化に対するライセンス料が放送事業者に発生するため、結果的にそのサービスを受けるユーザーから徴収することになってしまいます。 その結果、放送事業者側が当初予定していた映像符号化技術にMPEG4の採用を断念し「AVC/H.264」を使うことで2006年度から放送開始するこになったのです。
■サイマル放送
2003年東京、名古屋、大阪の3大都市でデジタル放送が始まりましたが、同時にアナログ放送も2011年7月まで放送されています。つまり放送局は同じ番組を同じ時間にデジタル/アナログ両方の放送をしなければならず、この同時放送のことをサイマル放送と呼んでいます。当初、放送局はSD制作で作った番組をアップコンバートして16:9の放送と4:3の放送を同時に放送していましたが、現在では2011年のアナログ放送停波に向け、キー局では完全HD化を行いHD制作の映像をSDテレビにダウンコンバートして放送しています。 このようにHDやSDの走査線や画角の異なる映像を4:3/480iや16:9/1080iに変換する作業のことをD/CダウンコンバートまたはU/Cアップコンバートと呼んでいます。 HD信号をダウンコンバートする方法としては走査線を間引いて480iに変換し、画面の両サイドをカットするSC(Side Cut)やエッジクロップEC(Edge Crop)を行うことで4:3の画面に変換します。 その他16:9の画面を左右から圧縮したようなスクイーズSQ(SQueeze)や4:3の画面の中で16:9の画角を作るレターボックスLB(Letter Box)などの方法を用います。 逆にアップコンバートでは4:3のSDTV信号を480i→1080iにするためメーカーによってそのアルゴリズムが異なるため、アップコンバートされた画質には大きな差がでてきます。 いずれにしても4:3を意識したHD制作のドラマは不自然なショットになるので、2011年7月までは視聴者側も制作側も辛抱の過渡期になりそうです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||